校長室

「アール・ド・ビーブル」の終焉

ウォールストリートジャーナルより抜粋
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欧州の人々は、今まで経験したことのない経済的な現実に直面しています。
それは、どんどん貧しくなっていくという現実です。

 欧州の暮らしは、「アール・ド・ビーブル(生活そのものが芸術)」として
世界中からうらやましがられてきましたが、市民の購買力が下がっていくにつれて、
その魅力はどんどん失われています。

 フランス人はフォアグラや赤ワインを食べたり飲んだりするのを
控えています。

スペイン人はオリーブオイルを使うのにケチケチしています。

フィンランド人は風の強い日にサウナに入るように言われています。

ドイツ人は肉や牛乳を食べるのをやめて、
オーガニック食品も手に入らなくなっています。

イタリア人はパスタが高くなりすぎて、政府が危機会議を
開いたほどです。

 消費が減って、欧州は景気後退に陥りました。

そして、21世紀に入ってから始まった欧州の衰退感がさらに強まりました。

欧州の窮状は、一朝一夕に起きたわけではありません。
人口が老化したり、働くよりも遊ぶことや安定した仕事を求めたりする
傾向が強かったせいで、経済成長や生産性が伸び悩んできました。

そして、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻という二重の危機に
見舞われました。

世界のサプライチェーンが乱れて、エネルギーや食料品の値段が上がる中で、
欧州の病状は悪化しました。

 政府の対策も効果がありませんでした。

政府は雇用を守るために、雇用主に補助金を払いました。
でも、それでは消費者は物価上昇の影響を受けるだけでした。

米国では違いました。米国では安いエネルギーと市民向けの支援金で
消費者が助かりました。

 欧州には輸出産業という切り札がありましたが、それも役に立ちませんでした。
中国の景気回復が遅れているせいで、欧州の輸出産業は苦戦しています。

高いエネルギーコストとインフレは、欧州製品の価格競争力を
下げてしまいました。

労使関係も悪化しました。世界貿易が停滞する中で、輸出に頼りすぎていた
欧州モデルは弱点になってしまいました。

 これからどうなるのでしょうか?
欧州は再び「アール・ド・ビーブル」を取り戻すことができるのでしょうか?

それとも、ますます貧しくなっていく運命なのでしょうか?
皆さんはどう思われますか?